中国ドラマでBLというタブーを力技で突破。「陳情令」 #40まで視聴
ストーリーが進めば進むほど面白くなっていくので、すっかりハマってしまいました。
中国耽美(BL)小説「魔道祖師」を原作としたドラマ「陳情令」、YouTubeにて英語字幕で視聴中です。
個人的にはBLは苦手だし美しい男たちの仲睦まじいさまよりも美しい男女の仲睦まじいさまの方が見たい派なので、ドラマ序盤はそこはかとなく漂うBL感のようなものに足止めを食らいながらの視聴となりました。
ドラマが進むにつれそんな淡いBLっぽさも演出の面白さとして楽しめるように。
直接的な描写は一切無く、代入されているだろうと思っていた男女の恋愛模様も極めて少なく、ただひたすらに若く美しい青年たちの友情や葛藤にクローズアップするドラマ…見ていくうちに「これはもしや中国仙侠ドラマ版ごくせんなのでは?」と思い至り。
中学時代にごくせん2期が放送され、毎週土曜日が待ち遠しかったしクラスでは仁亀ブームやもこみちブームが巻き起こっていたものです。
陳情令もそれに近いものを感じる。きっと中国の女子中高生達もクラスで「みんなは誰派?私は含光君派!」「私は魏嬰!」なんて会話をしながら盛り上がっていることではなかろうか。
ヒッソリ熱くカップリングについて語り合う腐女子たちもおおいに賑わっていることでしょう。
ごくせんでは小池徹平くん演じるワンコ系男子・タケが大好きだった私。
陳情令でのイチオシ男子はホンワカ癒し系だけど取扱注意な弟キャラ・温寧(ウェン・ニン)です。
陳情令を見ていて一番ギャップがあったキャラクターが温寧。
そしてこれまでのストーリーでもこれからのストーリーでもひとつの大きなトリガーになっている存在じゃないかな?と思います。
個人的には温寧と彼の姉でヒロインの一人でもある温情(ウェン・チン)が出てくるとドラマへの没入度が一気に上がります。
冒頭のあらすじをザックリと。
物語は戦場から始まる。「夷陵老祖(イールンラオズー)」と呼ばれ人々から恐れられている魔道の使い手・魏無羨(ウェイ・ウーシェン)が斃され、人々は歓喜に沸く間もなく彼が創り出した”陰虎符”を手にしようとする。
必死に腕をつかんでいた藍忘機(ラン・ワンジ)と無羨にとどめを刺した江澄(ジャン・チョン)を見つめながら、魏無羨は奈落の底へと落ちていく。
それから16年後。復讐する力を得ようとした莫玄羽(モー・シェンユー)という男の命がけの反魂術によって魂を召喚された魏無羨は玄羽として生きていくことに。
玄羽は元々変わり者でほとんど人目に晒されず、また自分でも仮面をつけて過ごすことが多かったために変化には気付かれることなく復讐を実行し、街を抜け出すことに成功する。*1
しかし玄羽のための復讐の旅に出かけようとした矢先、無羨の前に現れたのは16年前、無羨が死ぬ直前まで向き合っていた友、藍忘機だった。
藍忘機の顔を見た無羨は16年前のことを思い出す…
…という回想からドラマは始まります。
最初は一人の人物にたくさんの呼び名があることにやや混乱。
夷陵老祖=魏嬰=魏無羨だったり、含光君=藍湛=藍忘機だったり。
ピクシブ百科事典に載っている原作の解説で出ていた例が分かりやすかったかな。
※舞台設定が古代中国であるため、男子には苗字+名前、苗字+字、称号等を含むいろいろな呼び方がある。
例:諸葛 亮(苗字+名前)、諸葛 孔明(苗字+字)、臥龍先生(称号)。
字:中国古代で、男子の目上の人に付けられる呼び名です。一般的には名前とは典故があり、その徳を表す。歴史上では二十歳以降で使われるはずですが、魔道祖師では十五歳以降で使われます。
ドラマで3つの呼び名が頻出する主役2人に置き換えると、魏 嬰・藍 湛がもともとの名前。魏 無羨・藍 忘機が成人後に付けられる名前。夷陵老祖・含光君は授けられた称号であったり通り名であったり。という感じですかね。
2人に関しては相手や状況によって様々に呼ばれまくっているので数話も見れば誰のことかすぐに分かったのですが、他の登場人物は基本的に統一された呼ばれ方をしていてごくごくたまに違う呼び名がポンと出てくるので誰のことだか分からずに混乱します。
冒頭で夷陵老祖が斃されるシーンが断片的に描かれたあと一気に16年後に飛んで復活、そしてまた一気に16年前(正確にはもう2,3年前かな)に戻ってそのまま30話くらいが進むという形式。
31~33話くらいでようやく冒頭のシーンに戻ってくるのですが、もうここはとにかく手に汗握る展開で一気に見ました。
そしてようやく16年後のドラマでの現在時間に戻ってくるころにはすっかり最初の2話程度の記憶が薄れてしまっているので、もう一度最初の2話を見て「あーここに繋がってたのね」と復習。
全50話のうち40話まで見ましたが、今のところ一番面白く視聴していたのはやはり魏無羨が夷陵老祖と呼ばれるようになってから滅ぼされるところまでかな?という感じ。
その前までは私がごくせんっぽさを感じた一因でもある学園モノのような青春エピソードが主で、中でも魏無羨と藍忘機の信頼関係が少しずつ出来上がっていく様子に重きを置いていたので私にはやや退屈でした。
これは私がBLを好まないからだと思うのですが、魏無羨と藍忘機2人のシーンがこのドラマで一番興味無いんです。メインなのに。w
魏無羨はキャラクターも面白いし演じている肖戦も好き(というかもともと肖戦目当てに見始めてるし)なんですけど、藍忘機がどうにも退屈なんですよね…
91年生まれの肖戦に対して藍忘機を演じる王一博は97年生まれで顔立ちもまだ幼さが残っているし、体つきも華奢でお風呂で脱いでても「ひょろっ…」としている。
藍忘機のようなキャラは節制された色気があることって結構大事なのではないかと思うのですが、そういうのがあまり無いかな。でも、あのまま服装だけ学ランにして詩集でも持たせて窓辺に立たせたら物凄く色気を感じそうだ。
だけど王一博の藍忘機から色気をあまり感じないおかげでBLっぽさを上手いこと中和している気もする。
が、しかし。33話で16年後の現在に戻ってきてからというものの、それまで「匂わせ」程度に抑えていたBL感を一気に解放してきたような…?ww
16年ぶりに再会した魏無羨と藍忘機の描かれ方も以前より密接になっているし、おそらく原作で人気があるのではないかと思われるサブキャラクター達の関係性の描かれ方も中々に…
度肝を抜かれたのは薛洋(シュエ・ヤン)と曉星塵(シャオ・シンチェン)の描かれ方。
見終わったあと、ちょっとこれはどう受け止めたら…?と戸惑いました。
関係ないけど曉星塵は脇キャラなのにめちゃくちゃファン多そうなキャラクター造形でしたね。
40話現在は16年前に残されたままとなっている陰謀の謎解きをする展開となっていて、いよいよ黒幕に近づいてきた様子です。
ドラマが放映される前に、BL原作のままだと発禁になってしまうので原作ではチョイ役の女性キャラを主役2人それぞれのヒロインとして脚本を変更したという話を聞いていたのですが、40話を見ても2人と恋愛してるヒロインはいません。
キャストクレジットなどを見て「そうなるのではないか」という噂がリアリティを持って広まったのか、あるいは制作側が「原作とは違ってBLにはしませんよ!」という防御壁を作るために流したのか?
そのへんはよく分かりませんが、いずれにしても元がBLであると知らなければBL要素をそこまで強く感じることはないでしょうし(全くないわけではない)原作ファンであれば断固として許せないだろうカップリングの改変もないので違いを受け入れやすいでしょうし。良い塩梅に仕上がっているような気がしました。
もっとも、原作改変で出来た男女の恋愛模様を楽しみにしていた私は肩透かしを食らった気分ですけどね…w
魏無羨と温情のラブストーリー期待していたのに…
いや。まだあと10話残ってますから。あと10話で…期待…うん…w
そんな感じで恋愛パートではちょっと物足りなさがあるものの、冒険バトルファンタジーとして面白い展開が続いているので、週末に最後まで一気に見たいと思います。
なんとなくストーリーの流れ的に明るい結末が待っているんじゃないかと信じているのですが…これで悲劇だったらどうしよう。ダメージ大きい気がするw
温情は……だと信じてます。早く出てきて〜〜
*1:ここが少し分かりにくかったのだけど、どうやら姿というのは器(肉体)より中身(魂)に優先されるらしく、玄羽と無羨がもともと瓜二つだったわけではなく召喚によって無羨の姿に変わってしまった(転生した)らしい。