韓国ドラマ「王は愛する」が好きすぎてしんどい話
中国ドラマにハマる前はひたすら韓国ドラマを見ていました。
かれこれ15年近く前、NHKで放送していた「チャングムの誓い」をきっかけにテレビ放送されているドラマを見たりTSUTAYAでDVDを借りてきたり。
韓国語が分かるようになってからはネットでリアルタイムで見たりするようになっていました。
その中でも群を抜いてハマったのが「王は愛する」。
2017年夏に韓国で人気原作×豪華キャスト×100%事前制作の期待作として大きく注目されていた中で放送された全20話*1は視聴率10%以下を低空飛行し、年末の賞レースにも絡むことなく静かに幕を下ろしました。
にも関わらず私はこのドラマにかなり熱狂し、夢中になったのです。
毎週月曜日と火曜日の放送をリアルタイムで見守ることはもちろん、土日には過去放送分のおさらいをして、ドラマ原作本を韓国から輸入し、韓国のドラマファンサイトにも入会して日々ドラマの展開や演出意図について同志と語り合うというガチ勢っぷりを発揮したのです。
ドラマにハマって原作本を買うということは過去にもあったのですが、さすがにファンサイトに入会したのは初めてでした。
そんな「王は愛する」が、本日からようやく本格的に日本上陸してきました。
DVD-BOX1の発売と同時にレンタルスタート。
そしてU-NEXTでも1話無料&10話までの配信がスタートしました!!
いやーーーー嬉しい。
もっと早く来るだろうと思っていたのに、こんなに時間がかかったのはやはり本国での反応が鈍かったせいでしょうか。
そしてもう一つ。
原作本の日本語翻訳版が先月から発売されています!
上・中・下の3巻構成で今月末には中が発売予定です。
私はもちろん予約済みです。
ドラマを見てハマった人はぜひこの原作本も手に取っていただきたい。
ストーリーの大筋は同じでも、細かい設定や出会い方が違っていたりするのです。
ということでここでドラマのあらすじをザックリと。
ワン・ウォン(イム・シワン)は高麗王の父とモンゴル(元)皇女の母との間に生まれた混血の王子であり、その出自のために廷臣たちや実父から疎まれ、実母からは過剰な期待をかけられて息苦しい毎日を送っている。
そんなウォンが唯一心を許し、志を等しく行動するのが12歳の頃からの友であるワン・リン(ホン・ジョンヒョン)。
リンもまたウォンをかけがえのない存在として一生をかけて尽くしていくと心に誓っていた。
2人が学者イ・スンヒュの元を訪れると、そこには1人の美しい少女ソファ(ユナ)がいた。
彼女の本当の名はウン・サン。高麗一の豪商ウン・ヨンベクの娘で7年前にウォンとリンが出会っていた少女だった。
3人は一気に打ち解け、固い友情の絆で結ばれる。
しかし次第に3人の間にはそれぞれ異なる感情が芽生え、それはやがて国家をも揺るがすすれ違いへとつながっていく…
というようなお話。
いわゆるコテコテの三角関係なお話で、そこに高麗の政権闘争が絡んで来たり周囲の人物の恋愛模様も描かれていたりと、割とド定番を行く恋愛ドラマかと思います。
このドラマで問題となったのは、ヒロインであるサンがウォンとリンという魅力的な2人の男性の間を迷い続けている優柔不断キャラクターとして描かれていたためです。
三角関係のドラマって、普通は折り返し地点にたどり着くころには2人の想いが通じあったり気持ちを自覚してくっつくくっつかないのやり取りになるじゃないですか。
でも、サンの気持ちは最後の2,3話まで分からないのです。
だからめちゃくちゃモヤモヤした状態でドラマを見る羽目になるのです。
……というのが一般的なこのドラマの評価ですが。
私から言わせていただくならば、だいぶ早い段階からサンは○○が好きって描写あっただろ!!!
って感じです。
皆が気付いてない(考えていない)だけです、私はそのシーン見た時から確信してました。←
サンを演じたユナは原作を読むことを禁止され、どちらに想いを寄せどちらと結ばれるかも最後の台本を渡されるまで一切知らされないまま芝居をしたそうです。
「サンの気持ちが読めずもどかしいということをファンの方からよく言われたが、私自身ももどかしかった」
的なことも後々話していました。
でも、そのおかげで視聴者としてはもどかしくも納得のいくストーリーになっていたと思うのです。
サンがなぜこの人に惹かれたのかが分かりやすいですし、少しずつ距離が縮まっていく様がとても綺麗なのです。
100%事前制作のドラマということで、映像の隅々までが非常に緻密に練り上げられています。
映像が美しいというだけでなく、あちこちに伏線が張り巡らされていたりするので何度見ても新たな発見があるのです。
韓国放映当時はファンが作った伏線回収動画がいくつかあったのですが、今では探せなくなっています。
まだ残っているかな…
惜しいのは、中国版では放送されているのに韓国版ではカットされた場面に核心をつくシーンが複数あるというところで、日本にやってきているのは韓国版だということ。
そうそう、このドラマはユナの大陸人気のおかげか?中国でも愛奇芸(iQiYi)と提携して同時放送を行っていたのです。
内容は殆ど同じなのですが、一部シーンが中国版にのみ存在していたりBGMが違っていたりするところがあったのです。
両方視聴した感想としては、とあるワンシーンを除いては中国版の方が良いです。
セリフも美しい。
主人公3人の独白が多く出てくるのですが、そのどれもが印象的。
そしてOST(挿入歌)も良い。
歌詞が絶妙に場面やキャラの心情にリンクしていて、とにかく耳に残って頭に残ります。
そうそう、このドラマは主人公が3人なのです。
取り上げられ方は韓国でも日本でもウォンを演じるイム・シワンが主人公、サン役のユナ(少女時代)がヒロイン、そしてリン役のホン・ジョンヒョンが2番手…というイメージなのですが、実際にはウォンを中心にしつつもウォン・サン・リン3人が主役です。
そしてタイトルの「王は愛する」についてもそう。
これ、原題ママなのですが、日本上陸の際に変な邦題が付けられちゃったらどうしよう…とひそかにビビッていたのでw
原題ママのタイトルになったことに安心しました。
というのも、「王は愛する」の「王」とは、王子であるウォンのみを示していたわけではないからです。
これは私の推測ではあるのですが…
実は原作では、サンの名字が違うのです。
ウォンとリンは原作でもドラマでもワン(王)氏の高麗王族です。
そこに加えてサンも原作ではウン・サンではなくワン・サン、つまり王族の娘として描かれているのです。
つまり「王は愛する」の「王」とは、ウォンであり、リンであり、またサンでもあるのです。
それに加えて、「愛する」のは恋愛感情だけではなく、家族愛、友愛といったものも含まれていると思いました。
これはウォンとサン、リンとサンの恋愛だけでなく、ウォンとリンの友情も大きなテーマであるからです。
ドラマでは、ウォン(イム・シワン)の「これはお前を、自分以上に愛してしまった私の話だ」という印象的な独白があります。
最初はこれはサンのことを言っているんだと思っていたのですが、最後まで見ていくにつれてリンのことも同じく示している言葉なのではないか?と思うようになりました。
これは、自分自身のこと以上に誰かを大切に思い行動した人たちの話。
そう思うととてもしっくりくるストーリーです。
原作とドラマではずいぶんとストーリーの流れや結末が異なる部分があり、ドラマは原作の大枠だけを抽出して作られたといってもいいほどなのですが、原作に描かれている「自分よりも誰かを愛する」というポイントに絞って描き出しているところが本当に素晴らしいと思います。
ぜひ一度ドラマを見て頂きたい。
できれば何度も見てその時々の表情に込められた意味やセリフの意味をじっくり考えて深読みして頂きたい。
字幕翻訳がどのくらい意訳になっているのかが不安だけど、言葉の美しい響きを感じて頂きたい。回を重ねるごとに無邪気な少年から大人びた君主になっていくウォン、闊達な少女から淑女になっていくサン、無愛想な若者から思慮深い貴公子になっていくリンの三者三様の美しさを堪能して頂きたい。
そして原作も読んでいただきたい!!!
…という私の迸らんばかりの熱をただただぶつけるための記事となりました。
この後はまた中国ドラマに戻ります。
金曜日が遠い…
*1:韓国放映時は1回分を前後編に分けて放送していたので全40話