Trapped Like A Roller Coaster

5%の理解力で中国ドラマを見ては分かった気になって雑な感想を語っています

中国ドラマでBLというタブーを力技で突破。「陳情令」 #40まで視聴

 

ストーリーが進めば進むほど面白くなっていくので、すっかりハマってしまいました。

中国耽美(BL)小説「魔道祖師」を原作としたドラマ「陳情令」、YouTubeにて英語字幕で視聴中です。

 

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個人的にはBLは苦手だし美しい男たちの仲睦まじいさまよりも美しい男女の仲睦まじいさまの方が見たい派なので、ドラマ序盤はそこはかとなく漂うBL感のようなものに足止めを食らいながらの視聴となりました。

ドラマが進むにつれそんな淡いBLっぽさも演出の面白さとして楽しめるように。

直接的な描写は一切無く、代入されているだろうと思っていた男女の恋愛模様も極めて少なく、ただひたすらに若く美しい青年たちの友情や葛藤にクローズアップするドラマ…見ていくうちに「これはもしや中国仙侠ドラマ版ごくせんなのでは?」と思い至り。

中学時代にごくせん2期が放送され、毎週土曜日が待ち遠しかったしクラスでは仁亀ブームやもこみちブームが巻き起こっていたものです。

陳情令もそれに近いものを感じる。きっと中国の女子中高生達もクラスで「みんなは誰派?私は含光君派!」「私は魏嬰!」なんて会話をしながら盛り上がっていることではなかろうか。

ヒッソリ熱くカップリングについて語り合う腐女子たちもおおいに賑わっていることでしょう。

 

ごくせんでは小池徹平くん演じるワンコ系男子・タケが大好きだった私。

陳情令でのイチオシ男子はホンワカ癒し系だけど取扱注意な弟キャラ・温寧(ウェン・ニン)です。

 

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陳情令を見ていて一番ギャップがあったキャラクターが温寧。

そしてこれまでのストーリーでもこれからのストーリーでもひとつの大きなトリガーになっている存在じゃないかな?と思います。

個人的には温寧と彼の姉でヒロインの一人でもある温情(ウェン・チン)が出てくるとドラマへの没入度が一気に上がります。 

 

冒頭のあらすじをザックリと。

 

物語は戦場から始まる。「夷陵老祖(イールンラオズー)」と呼ばれ人々から恐れられている魔道の使い手・魏無羨(ウェイ・ウーシェン)が斃され、人々は歓喜に沸く間もなく彼が創り出した”陰虎符”を手にしようとする。

必死に腕をつかんでいた藍忘機(ラン・ワンジ)と無羨にとどめを刺した江澄(ジャン・チョン)を見つめながら、魏無羨は奈落の底へと落ちていく。

 

それから16年後。復讐する力を得ようとした莫玄羽(モー・シェンユー)という男の命がけの反魂術によって魂を召喚された魏無羨は玄羽として生きていくことに。

玄羽は元々変わり者でほとんど人目に晒されず、また自分でも仮面をつけて過ごすことが多かったために変化には気付かれることなく復讐を実行し、街を抜け出すことに成功する。*1

 

 

しかし玄羽のための復讐の旅に出かけようとした矢先、無羨の前に現れたのは16年前、無羨が死ぬ直前まで向き合っていた友、藍忘機だった。

藍忘機の顔を見た無羨は16年前のことを思い出す…

 

…という回想からドラマは始まります。 

最初は一人の人物にたくさんの呼び名があることにやや混乱。

夷陵老祖=魏嬰=魏無羨だったり、含光君=藍湛=藍忘機だったり。

ピクシブ百科事典に載っている原作の解説で出ていた例が分かりやすかったかな。

 

※舞台設定が古代中国であるため、男子には苗字+名前、苗字+字、称号等を含むいろいろな呼び方がある。
例:諸葛 亮(苗字+名前)、諸葛 孔明(苗字+字)、臥龍先生(称号)。
字:中国古代で、男子の目上の人に付けられる呼び名です。一般的には名前とは典故があり、その徳を表す。歴史上では二十歳以降で使われるはずですが、魔道祖師では十五歳以降で使われます。

 

ドラマで3つの呼び名が頻出する主役2人に置き換えると、魏 嬰・藍 湛がもともとの名前。魏 無羨・藍 忘機が成人後に付けられる名前。夷陵老祖・含光君は授けられた称号であったり通り名であったり。という感じですかね。

2人に関しては相手や状況によって様々に呼ばれまくっているので数話も見れば誰のことかすぐに分かったのですが、他の登場人物は基本的に統一された呼ばれ方をしていてごくごくたまに違う呼び名がポンと出てくるので誰のことだか分からずに混乱します。

 

冒頭で夷陵老祖が斃されるシーンが断片的に描かれたあと一気に16年後に飛んで復活、そしてまた一気に16年前(正確にはもう2,3年前かな)に戻ってそのまま30話くらいが進むという形式。

31~33話くらいでようやく冒頭のシーンに戻ってくるのですが、もうここはとにかく手に汗握る展開で一気に見ました。

そしてようやく16年後のドラマでの現在時間に戻ってくるころにはすっかり最初の2話程度の記憶が薄れてしまっているので、もう一度最初の2話を見て「あーここに繋がってたのね」と復習。

 

全50話のうち40話まで見ましたが、今のところ一番面白く視聴していたのはやはり魏無羨が夷陵老祖と呼ばれるようになってから滅ぼされるところまでかな?という感じ。

その前までは私がごくせんっぽさを感じた一因でもある学園モノのような青春エピソードが主で、中でも魏無羨と藍忘機の信頼関係が少しずつ出来上がっていく様子に重きを置いていたので私にはやや退屈でした。

これは私がBLを好まないからだと思うのですが、魏無羨と藍忘機2人のシーンがこのドラマで一番興味無いんです。メインなのに。w

魏無羨はキャラクターも面白いし演じている肖戦も好き(というかもともと肖戦目当てに見始めてるし)なんですけど、藍忘機がどうにも退屈なんですよね…

91年生まれの肖戦に対して藍忘機を演じる王一博は97年生まれで顔立ちもまだ幼さが残っているし、体つきも華奢でお風呂で脱いでても「ひょろっ…」としている。

藍忘機のようなキャラは節制された色気があることって結構大事なのではないかと思うのですが、そういうのがあまり無いかな。でも、あのまま服装だけ学ランにして詩集でも持たせて窓辺に立たせたら物凄く色気を感じそうだ。

だけど王一博の藍忘機から色気をあまり感じないおかげでBLっぽさを上手いこと中和している気もする。

 

が、しかし。33話で16年後の現在に戻ってきてからというものの、それまで「匂わせ」程度に抑えていたBL感を一気に解放してきたような…?ww

16年ぶりに再会した魏無羨と藍忘機の描かれ方も以前より密接になっているし、おそらく原作で人気があるのではないかと思われるサブキャラクター達の関係性の描かれ方も中々に…

度肝を抜かれたのは薛洋(シュエ・ヤン)曉星塵(シャオ・シンチェン)の描かれ方。

見終わったあと、ちょっとこれはどう受け止めたら…?と戸惑いました。

関係ないけど曉星塵は脇キャラなのにめちゃくちゃファン多そうなキャラクター造形でしたね。

 

40話現在は16年前に残されたままとなっている陰謀の謎解きをする展開となっていて、いよいよ黒幕に近づいてきた様子です。

ドラマが放映される前に、BL原作のままだと発禁になってしまうので原作ではチョイ役の女性キャラを主役2人それぞれのヒロインとして脚本を変更したという話を聞いていたのですが、40話を見ても2人と恋愛してるヒロインはいません。

キャストクレジットなどを見て「そうなるのではないか」という噂がリアリティを持って広まったのか、あるいは制作側が「原作とは違ってBLにはしませんよ!」という防御壁を作るために流したのか?

そのへんはよく分かりませんが、いずれにしても元がBLであると知らなければBL要素をそこまで強く感じることはないでしょうし(全くないわけではない)原作ファンであれば断固として許せないだろうカップリングの改変もないので違いを受け入れやすいでしょうし。良い塩梅に仕上がっているような気がしました。

もっとも、原作改変で出来た男女の恋愛模様を楽しみにしていた私は肩透かしを食らった気分ですけどね…w

魏無羨と温情のラブストーリー期待していたのに…

いや。まだあと10話残ってますから。あと10話で…期待…うん…w

そんな感じで恋愛パートではちょっと物足りなさがあるものの、冒険バトルファンジーとして面白い展開が続いているので、週末に最後まで一気に見たいと思います。

 

なんとなくストーリーの流れ的に明るい結末が待っているんじゃないかと信じているのですが…これで悲劇だったらどうしよう。ダメージ大きい気がするw

 

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温情は……だと信じてます。早く出てきて〜〜

 

 

 

*1:ここが少し分かりにくかったのだけど、どうやら姿というのは器(肉体)より中身(魂)に優先されるらしく、玄羽と無羨がもともと瓜二つだったわけではなく召喚によって無羨の姿に変わってしまった(転生した)らしい。

瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~(原題:延禧攻略) #10まで視聴(+陳情令)

 

 

約2か月ぶりの更新です。

この2か月では「致我們暖暖的小時光」の続きを見たり、U-NEXTで配信されている「烈火如歌(邦題:如歌~百年の誓い~)」を見たりしていましたが、ブログを更新するほど夢中にはなれず。

小時光に関しては前半に比べて終盤がかなり失速してしまった感じで、「終わりよければすべてよし」ならぬ「終わりイマイチであれば全てイマイチ」な印象です←

如歌はヴィック・チョウとディリラバという組み合わせにときめかない上に物語の導入部に説明が少なすぎて謎だけをポンポン投げられている感じが好きになれず。

あとはNetflixで配信されている「旦那様はドナー(原題:奈何BOSS要娶我)」も見ていました。

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これは結構面白かった!

ベタな設定でベタな展開でツッコミどころも満載な少女マンガ的ドラマですが、テンポが程よい感じで楽しめました。

 

 

そして、ずっと待ちわびていたドラマが8/2からU-NEXTにて配信開始しました。

2018年の中国ドラマの中で圧倒的人気を誇ったドラマ、「瓔珞~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~(原題:延禧攻略)」です。

 

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中国ドラマを見るようになる前に比べれば辮髪への違和感は少なくなったのですが、やはり好みとしては辮髪はちょっと…なので清代のドラマは極力避けがちです。

ただこれは放映当時の反響も大きかったですし、「招揺」で気になる俳優リストに入った許凱が出ているので見ずにはいられませんでした。

許凱の出演作で日本に上陸を果たしたのは今作が初めて、かな。

 

8/2に配信がスタートしたのは10話までだったので、この週末にあっという間に10話まで見終えてしまいました。

私にとって、中国ドラマ最大のハードルが「1話を最初から最後までひと息に見ることが出来るか?」ということ。

これが意外と難しく、ほとんどのドラマは冒頭の10分程度すら集中して見ることが出来ずに中断してしまうのです。

瓔珞はというと、ものすごいスピードで3話までをひと息に駆け抜けてしまいました

 

面白い!!!

何が面白いかって、時代背景とか主人公の生い立ちとかぜーーーんぶすっ飛ばして、いきなり主人公のスカッとエピソードをドアタマに持ってきたこと。

主人公の一見すると大人しそうに見えて実は理不尽に黙っていられない性分、やられたらやりかえすハンムラビ精神、低い身分にも関わらず感じる野心が、状況説明を一切していない1話からヒシヒシと感じられるのです。

1話からして疾走感がすごい。

1話からしてこの主人公、強い。

 

人に告げ口することで苦境から打破するのではなく、自分の知略によって解決していくのがかっこいい。

そして仕返しはとことんやる、容赦などどこ吹く風とばかりに再起不能にするという徹底ぶりには悪役じみた冷徹さを感じつつも、それを上回る痛快さにワクワクするのです。

このヒロイン、絶対に失敗しない某お医者さんのような頼もしさを感じる。

 

とにかく11話以降が早く見たくてたまりません。

日本語字幕無しで見てしまおうか…と思うものの、いやいやまた来月配信されるのを待とう…という気持ちとでせめぎ合いです。

 

そんな気持ちを落ち着けるため、今日から「陳情令」を見始めました。

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以前見た「哦!我的皇帝陛下」で良い感じの役者さんだーと思った肖戦が主役なので気になっていたドラマです。

どうでもいいけどこのドラマの肖戦、K-POPグループNCTの日本人メンバー・ユウタに似ている気がする。

 

原作がBL小説ということですが、もちろん中国でBLドラマなんて放送できない…ということでそれぞれにヒロインが設定され男同士の武侠な友情とちょっとした男女のロマンス物になっている模様。

というかそんな改変をしているのならそれは原作というのか…??原案???

 

まだ1話を見ただけですが、これまた結構面白くて字幕が続く限りはスイスイ見られそうです。

 

下半期は私が楽しみにしている古装がいくつか放映開始する予定なのですが、古装に対する放映基準が厳しくなっていることもあり来年にずれ込む可能性が高いものもありそうです…

古装好きとしては中々に辛い。

 

今はとりあえず瓔珞、そして陳情令を楽しみに猛暑の夏を乗り切りたいと思います。

 

 

 

 

 

 

ミュージカル「エリザベート」6/8昼公演を観劇

 

日本ではチケットが取りづらい作品としても有名な人気ミュージカル「エリザベート」を観てきました。

 

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音楽の都ウィーンで生まれたこのミュージカルは圧倒的な音楽の力と退廃美に彩られ、実在したオーストリア皇后エリザベートの一代記を時にリアルに、時に幻想的に描いたストーリーが印象的です。

 

 

 演出家曰く「レ・ミゼラブルなどの根幹産業の隙間を埋めるために上演したらここ(帝国劇場3か月公演全日即完売)まで成長した」wというモンスター作品です。

 

日本初演は1996年に宝塚が先んじ、その後2000年に東宝演劇が男女版を上演しているので宝塚作品というイメージが強いかもしれませんね。

噂では宝塚が権利を持っているので主役級の女性キャストは宝塚出身者以外はキャスティングされないとかなんとか。

 

斯く言う私も大好きなミュージカルなので、何度か観劇する予定です。

本当は全キャスト網羅して初日から千穐楽まで見守りたかったのですが、初日である6/7はチケット戦争に敗れ叶わず…

ですが、W・トリプルキャストの初日である6/8の昼夜公演は観劇することが出来たので感想を残しておきたいと思います。

 

役替わりのメインキャストは

エリザベートオーストリア皇后):愛希れいか

トート(黄泉の帝王):古川雄大

ルキーニ(皇后暗殺者):成河

フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝):平方元基

ゾフィーオーストリア太后):涼風真世

ルドルフ(オーストリア皇太子):三浦涼介

少年ルドルフ(子役):大橋冬惟

という組み合わせでした。

 

舞台のあらすじについては公式等に投げるとして←

新キャスト中心の感想をざっくりと。

 

メインキャストがルキーニとゾフィー以外みなさん新キャストということで、非常に初々しく若々しい雰囲気で新鮮でした!

加えて初日ですからキャストも客席も独特の緊張感に包まれていて。

エリザベートといえば豪華絢爛でありながら重厚感や陰鬱さをヒシヒシと感じる、決して楽しい作品ではないんですが、初日はまだ探りながら…という部分が見えたように感じます。

 

まずはタイトルロール、エリザベート役の愛希れいかさん。

実は前回公演の時にこの役を演じられた女優さんが、私の中でトラウマになってまして。

今回の再演が発表されたときに彼女が居なくてホッとしたのと同時に愛希さんの経歴が彼女とほぼ同じだったことにかなり不安を感じたものでした。

しかし周りから「愛希さんは大丈夫!」と太鼓判を押されたので避けることなくチケットを取りました。

ドキドキひやひやしながら初日を拝見しましたが…

うん、とても良かったんじゃないでしょうか!?

特に1幕では緊張がこちらにも伝わってくるほどで歌の所々に震えるような不安定な響きがあったりもしましたが、休憩挟んで2幕になるといくらか落ち着いたように見えました。

私が踊るとき」のナンバーが特に愛希シシィの力強さがよく出ていて、凛とした歌声から目線の使い方までかっこよかったです。

私だけに」は後半にかけてどんどん盛り上がっていく感じが出るともっと良いかなーと思いました。

パパみたいに」の歌い終わり、家庭教師に叱られたときに「フンッ!」て拗ねて見せてたのがとてもかわいかった。

エリザベートを意志が強く生命力に溢れた女性として丁寧に演じられていたと思います。

 

黄泉の帝王トート閣下は、前回まで3期続けて皇太子ルドルフを演じていた古川雄大さんが出世してw帰ってきました。

登場シーンからその美しさに度肝を抜かれました。

いやーーーーー美しいは正義。顔が小さい脚が長い腰が細い指先まで美しい。

死は概念だから性別が無くて、トートはエリザベートにとって最も魅力的な姿をしている。というのが実にぴったり。

美しいだけじゃなくて歌でも持ち味の甘い声が何とも艶やかに人々を誘惑しているようでとにかく魅惑的なトート閣下でした。

劇中に何度も「エリザベート」と口にするのですが、それが何とも甘ったるくてセクシー。

最後のダンス」の歌い方がかつてのマテ・カマラスさん*1を彷彿とさせるロックさでとても良かったです。

ロミジュリの時も思いましたが、やはり古川さんはフェイクがカッコいい!

リズムを一度崩してからメロディーラインに乗せるようなアレンジを各所に散りばめていて、濃いエリザファンであればあるほどその自由さや意外性に驚くのではないでしょうか。

まだまだ模索中であったり芝居に馴染んでいない部分も窺えましたので、公演を重ねていくにつれてもっともっと自由に、そして凄みが増していくことを期待しています。

 

皇帝フランツ・ヨーゼフ役はこれまた2012年に古川閣下とトリプルキャストで皇太子ルドルフを演じていた平方元基さんが、7年を経て息子から父親となりカムバックです。

一番驚いたのは老けっぷり!!

フランツって劇中もの凄いスピードで老けていくんですが、そのメイクがすさまじくて。

そこまでやらんでも…と思ったんですが、もともとが若々しくてイケメンな方なので、多少オーバーにしないと老けて見えないのかもしれませんね。

中年期が病人のような窶れメイクでビビりました←

平方さんを観るのはやや久しぶりで1年ぶりくらいだったのですが、声にうんと深みが増していて驚きました。

フランツのキーポイントである「老い」を声の演技で表現することが難しそうな印象を受けましたが、後半の「夜のボート」~「悪夢」にかけての感情の溢れ方がとても好きでした。

それまでは自分をよく律し感情を抑えている人物のように見えたフランツが、なりふり構わずエリザベートを求める様が愛に溢れる一方もの悲しくもありました。

 

ルドルフ役にはエリザベート初参加の三浦涼介さん。

なんと、東宝エリザでは歴代最高齢でのルドルフ(32歳)だそうで!

海外だと結構おじさんぽいルドルフも多いのに、日本ではルドルフは若手登竜門的扱いなので30代で演じることってほとんど無いんですよね。まぁ、享年30歳の人物なので仕方ないか…

前回の古川ルドルフは当時28、29歳とかでギリギリだと言われ、20歳そこそこの京本ルドルフは小柄な見た目もあって幼すぎると言われていたのを思い出します。

何はともあれ三浦ルドルフ、第一声が低くて驚きましたww

ロミジュリで観た時より更に低くなっているような…?

低くてハスキーな声やパンクロックが好きな方はすごく好きな声だと思います。

私は…うーん。やっぱり観るならストプレで観たい役者さんかなぁと思いました。

演技は好きだし舞台メイク映えする役者さんで存在感もあって好きなんですけど。

歌となると、特にルドルフのように高音が聴かせどころとしてある役の場合、高い音を高く聞こえるように歌える方が私は好きです。

三浦ルドルフは確かに高音も綺麗に歌えているのに、1オクターブ下を歌っているように聴こえてしまいます。

革命の意思に燃える先見の明を持った”賢すぎた”皇太子ルドルフの側面を強く押し出したようなお芝居はとても良かったです。

 

そして続投キャストのルキーニ役、成河さん。

フレッシュな新キャストが揃っている中で、成河ルキーニの安定感・巧みなストーリーテリングがとにかく頼もしかったです。

前回公演では甲高く叫ぶように歌い上げたりトートを狂信的に崇拝していたりメイクもピエロのようなペイントを施していたりと、狂いっぷりが凄まじかったのですが、今回は少し落ち着きが出ていたように感じました。

この物語はルキーニが語り紡ぐ虚構(キッチュ)である、という説得力は以前にも増して、舞台を支配する力に圧倒されます。

 

同じく続投されているゾフィー太后役の涼風真世さん。

先日観た「レベッカ」のダンヴァース夫人が素晴らしかったのですが、ゾフィーも低音の圧が増しているようで迫力抜群でした。

涼風ゾフィーは老いてもなお美しい姑で、シシィに「私を妬んでる!」といわれ「馬鹿げたこと言わないで」とあしらうのがとても似合いますw

「小娘に嫉妬するほど落ちぶれていない」と言わんばかりの美貌と権力を持っていたのに、徐々にその立場を追われていき小さくなっていく姿に悲哀を感じます。

でも、フランツとヘレネのお見合いの「計画通り」での「安産型だわ」の時の表情が一番好きだったりする。

 

 

メインキャストはこんなところでしょうか。

公演に通い、DVDになって何度もリピートしている2016年版からさらに音楽的な変更や演出変更、美術変更などがあってキャスト以外の面でも目新しいところがたくさんでした。

この日は夜公演も続けて観劇したのでそっちの感想も書けたら書きたいなと思っているところです。

 

やっぱりエリザベートは楽しい!

 

 

*1:本家ウィーン版のトートであり2012年には東宝エリザベートでもトートを演じた

致我們暖暖的小時光 #16まで視聴

 

とっても久しぶりに現代劇を見ています。

中国古装ドラマは何と言っても装飾・衣装の華やかさやスケールの大きさが好きで、日本語字幕が無いためにストーリーの理解が曖昧な時も画面の美しさで乗り切れる気がするんですよねw

現代劇にはそれが無い上、セリフや行動に現代中国文化が色濃く反映されているのでかえって分かりづらく感じる時があります。

とはいえドラマは古装の方が少ないですし、私の嗜好からいえば中国の現代青春ドラマは好みどストライクですし、中国ドラマにハマるきっかけになったのもこのジャンルなので嫌いじゃないんです。むしろ大好き。

 

ということで、今年放送されたドラマの中で現時点で最も評価が高い「致我們暖暖的小時光」を見始めました。

全24集で今年4~5月に配信されました。

 

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少し前にNetflix経由で日本上陸を果たした「致我們単純的小美好(邦題:ツンデレ王子のシンデレラ)」の姉妹編とのこと。

浅学の私は中国現代物ってみんなこんな感じのタイトルなのかなーと思っていて気づきませんでした。w

 

Youtubeでとっても綺麗な英語字幕がバッチリついているのでそちらで視聴中です。

 

www.youtube.com

 

 

司徒末(ストゥ・モー)は憧れの広告プランナーになるために就活中の大学4年生。

広告会社の面接の朝、末末(司徒末のあだ名)は高校時代からの友人・沛(フー・ペイ)の自転車に乗って会場へと向かっていた。

ところが向かいからやってきた自転車と衝突して転んでしまい、ぶつかった相手で傅沛のルームメイト・顧未易(グー・ウェイイー)とカバンが入れ替わったことに気が付かないまま面接に挑み撃沈してしまった。

顧未易もまた、カバンの中に入れていた学生証が無いために大事な試験を受けられなかった。

散々な出会い方をした2人だったが、その出来事をきっかけに度々顔を合わせるようになる。

末末は高校の頃から傅沛に淡い恋心を抱いており、2人は友達以上恋人未満のような曖昧な距離感のまま4年間過ごしていた。

末末の気持ちを知ってか知らずか傅沛は無神経な態度を取っては末末を傷つけるが、一方で末末が顧未易と親しげにしていると彼氏面をしてきたりと、末末を振り回す。

付かず離れずの微妙な関係の2人を顧未易は複雑な表情で見つめている。

末末のインターンシップ先が決まり、母親の伝手で母親の友人が子供のために用意した家に下宿させてもらえることになった。

「子供はめったに帰ってこないから」という言葉に甘えてグウタラな生活をしていると、突然ドアが開く音が。

そこにいたのは顧未易。母親の友人の子供とは顧未易のことだった。

そうして2人の同居生活が始まっていく…

 

というようなお話。

 

前作の「ツンデレ王子のシンデレラ」という邦題にはかなりザワついたものですが、今作が日本に来るなら、シリーズ的にしたくとも「シンデレラ」と「ツンデレ」というワードは外してほしいなぁと思います。

 

まず、シンデレラって中国ドラマの邦題に多すぎ問題がありますよね。

シンデレラシリーズなんて呼ばれ方をしているグーマン3部作もありますし…

既にシンデレラ市場は飽和状態だし、シンデレラと聞いて想像するのはやはり普通の女の子が王子様に見初められてプリンセスになるサクセスストーリー的なものだと思うんです。

今作は主人公の末末が自立していて行動力があって自分で道を切り開いていく逞しい女の子なので、なんとなく受け身のイメージが強いシンデレラは似合いません。

どうしてもプリンセスにしたいのであれば美女と野獣のベルかなと思いますが、邦題には不向きですよね。

 

ツンデレに関しても、そもそもツンデレってワードがもう古いし。

それに顧未易はツンデレには当てはまらないキャラクターです。

絵に描いたような理系イケメンですが生まれてこのかた恋愛とは無縁の生活を送ってきたが故の初々しさ、たどたどしさが強い。

 

ただ、これ日本に来るのはかなり大変なんじゃないかなぁ…??という気もしてます。

というのも、司徒末が大のドラえもん!!ww

 

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ベッド、クッション、マグカップ、絆創膏、カイロ、しまいにはラブレターにまで。

身の回りのいたるところにドラえもんが散りばめられまくっており、キャラクターライセンスに厳しい日本だとこれは厳しいかもしれない…と不安です。

正規品コピー品に関わらず、キャラクターの使用自体がいささか面倒なことですからね。

かといえ許可を取ら(れ)なければドラマの中心となる2人の家がモザイクだらけになってしまうしw

 

ドラえもん大好きな末末はとっても可愛いですけどね。

ドラえもんグッズってこんなに色々あったのかという驚きもw

 

ドラマ自体は日本の少女マンガを見ているような甘酸っぱい青春ロマンスという感じで、起伏が少なく淡々と進んでいるのにどんどん次が気になって見てしまう魅力があります。

意地悪をする悪役も、刺激的な描写も一切出てこないのが逆に面白い。

血生臭い陰謀に満ちた古装が続いていたので、余計にこのピュアピュアしたドラマを楽しめています。

難しい言い回しが殆どないので英語字幕が苦じゃないのも手伝っているかもしれません。

 

 

細かい感想は24話まで見終わってからにするとして、ドラマを見ていると食欲がそそられる食べ物がちらほら…

 

末末の大好物で顧未易が苦手な螺蛳粉(田螺ビーフン)は見た目からして田螺が無理なので顧未易に同意なのですが、味は気になる。

末末のお母さんが2人に作った胡桃と黒胡麻のお汁粉は自分でも作りたくなります。

あとこれは中国ドラマ全般によく思うのですが、中華式朝ごはんっておいしそうですよね。

職場の近くに朝からお粥を出してくれる中華粥専門店があったのですが、閉店してしまって残念…

それからお茶!茶葉の名前を忘れてしまったのですが、顧未易がいつも淹れるあのお茶も飲みたくなります。

急須など茶漉しを使わずコップにダイレクトに茶葉を入れてお湯を注ぐ中国スタイルのお茶の飲み方、最初に見た時は衝撃的でしたが慣れるとそっちの方が美味しく感じる。

 

古装優先でドラマを選んでいましたが、現代劇もやっぱり面白い。

他にもいくつか現代劇をリストアップしているので、しばらく現代劇強化期間にしていこうかな??と思っています。

 

Netflixでずーーっと先送りにしている流星花園2018もそろそろいい加減見ておかないと。

花男は台湾版の流星花園がずっと好きなんですよね…あれでヴィック・チョウにハマりました。

あ、そういえばその流星花園が「小時光」にちらっと出てきてました!

末末が流星花園道明寺(ジェリー・イェン)を見ながら「この髪型超カッコいい!」と言うのですが、顧未易は「パイナップルみたい」と一蹴。

「あんたは便器の蓋みたいよ」と言い返す末末に思わず笑ってしまうシーンなのですが、後日談として顧未易が美容室に行って「この髪型にしてください」と道明寺の写真を見せていたことが明らかにww

「君には似合わないと思うよ」という美容師さんの言葉にも負けず道明寺ヘアをお願いした顧未易、美容師さんの苦労の末にスタイル完成したものの…

やっぱり元の髪型が良いよ、となる可愛い展開でした。

しかし顧未易を演じている林一がイケメン過ぎて、むしろ道明寺ヘアめちゃくちゃ似合ってて若手アイドルみたいな爽やか少年に仕上がってしまってたのが惜しいというかさすがというか。w

 

 

 

絶対的正義へのアンチテーゼ「招揺」 #1~#56 視聴完了

 

 

そこまで夢中になっていたわけではなかったのですが、時間に余裕があったので思ったより早いペースでの視聴完了となりました。

中国仙侠ドラマ「招揺」です。

 

前記事はこちら 

tommhe.hatenablog.com

 

全56話ですがDVD版(私はディレクターズカット版と理解している)は全55話です。

 

とにかく真っ先に言いたいのは、許凱のビジュアルが神がかっている!!!

これに尽きる。←←←

元々イケメンだとは思っていましたが、塵瀾の扮装をしている許凱はヤバい。(ヤバい)

 

許凱演じる塵瀾は後半に一瞬闇堕ちするんですが、その時に少し濃いアイメイクをしてるのがまぁー似合う。

思わず「カーーーーーッ美男!!!」って心の中で叫びながらリピート再生しました。

伏し目になったときの目元が美しいいい。

 

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許凱は今どきのトレンド顔イケメンなのはもちろん骨格がイケメン。

この少女マンガから飛び出てきたような甘めのマスクに身長186.5cmはチートでしかない…!

顔が小さくて細身ながら肩幅が広いので古装がよく映えます。

 

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ドラマは面白かったですし結末までドタバタにならずスッキリとまとまっていて良かったのですが、このハイペースで集中して視聴できたのは間違いなく許凱の存在だったと思います。

イケメンなだけでなく演技もすごく良かった。

塵瀾というキャラクターはドラマの中で経過する10年という年月で大きく変化する人物です。

それをヘアメイクの力だけではなく立ち居振る舞いや表情からもうまく表現していました。

許凱、今後のドラマもなるべくチェックしていきたい俳優として微博(weibo)フォローしました。

 

ちなみにTwitterでも少し呟いたけど、個人的には菅田将暉に一番似てる気がします。

菅田将暉はバター醤油味のポップコーンで許凱はキャラメルポップコーンみたいな感じかな(どんな例えw)

 

 

とにかく許凱が最高だったのでそのことばかり触れがちですが、他のキャストも良かったです。

主演の白鹿は許凱との共演がこれで3回、4回目?なので息もぴったりでしたし、招揺というカリスマ性あふれるキャラクターが生き生きして見えました。

 

youtu.be

招揺はメイキング映像が可愛いの宝庫。

このキスシーンは本編よりもメイキングの方が♡!

 

一人二役状態となった琴芷嫣(チン・ズィエン)役の肖燕も良かったです。

演じ分けが自然なのに一目で分かりやすくてお見事。

ちなみに現在視聴中の「新白娘子伝奇」にもサブ女キャラで登場しているので、割と顔馴染み状態になりつつある(?)

 

代旭演じる姜武(ジャン・ウー)は偽悪の万戮門メンバーに対する絶対悪であると思いきや、最後はめちゃ良い奴的扱いでちょっと戸惑いがw

私のイチオシ南山主は色々と悲しいエピソード担当で後半はちょっと辛かったです…

さらに演じている向昊が95年生まれだったことにも衝撃。

 

 

ドラマ全編を通して立ちはだかり続けた金仙・洛明軒(ルオ・ミンシュアン)は神にも等しい聖なる存在であり、否定することは許されない絶対正義の存在。

であるにもかかわらず、唯一無二の絶対的な正義というものの押しつけがましさは理不尽そのもので、仙人は不滅の存在という仙侠物の大前提にすら不気味さを覚えます。

「我に異を唱えるものは等しく悪である」とばかりに金仙が一方的に力をふるうクライマックスはジェノサイドそのものです。

 

”勧善懲悪”の四文字には当てはまらない描かれ方というところにストーリーとしての面白さがありました。

 

その他にドラマの構成・編集として気になった点がいくつかあったのですが、Twitterでも少し言及しています。

 

過去のフラッシュバックやシーンのトリップが多用されていたのですが、まず映像の使い回しが多く「いやまたこのカット挟むんかい」ってのが後半特に増えたのは勿体ない使い方だなーと思いました。

あとは前半にあえて虫食い状態にしておいて後から実はこうでしたーという穴埋めをしていく作業が脈絡無く…とまでは言わないものの中々に唐突な展開で挟まれていくので流れがぶつぶつと切れてしまっているように感じたり。

もう少し順番を並べ替えて場面転換をスムーズにしてくれるともっとスッキリして話数を纏められ、最終話を広げられたんじゃないかな?とやや残念なポイントでした。

とにかく謎めいた部分ほどコロコロ転換して分かりにくかったので、日本上陸したら字幕のストレスが無い状態でもう一度見たいところです。

 

 

東宮」のように感情をガンガン揺さぶられるわけでもなく淡々と見進められたので特段ロスにはなりませんでした。

でもメイキングが楽しいし俳優陣がとても良かったので関連動画は見終わった後もよく見ています。

仙侠物ですがラブストーリー好きな人におすすめしたいドラマです。

 

とりあえず許凱にハマったので8月に日本上陸が決まった「瓔珞~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~(原題:延禧攻略)」は苦手な清代物ですが必ず見ようと思います。

あと「鳳囚凰」、これは白鹿も出演しているし日本上陸予定?した?ので前からチェックを入れているんですが…評価がめちゃくちゃ低いんですよねぇ…それでためらってます。

今年中国で放送予定の「朝歌」は主役が「芸汐伝」で良い感じだった張哲瀚ということもあり楽しみに待っていますが、撮影は2016年で許凱的には俳優デビュー作?っぽいしチョイ役みたいで物足りないかも。

 

いずれにせよ今後の作品も楽しみに待ちたいと思います。

 

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そういえば塵瀾と彼に執着するあまり闇堕ちしちゃう元護衛の女の子(林子豫)とのやり取りの中で

「招揺の代わりに私じゃダメなの?」と問いかける林子豫に対して塵瀾が

「この世界に招揺はただ一人だけだ」と突き放して、

「そう…そうね。でも覚えておいて、私だってこの世界に一人だけの存在なのよ」って涙流しながら呟いたのがなんだかとても印象的だったな。